くまモン音楽祭
About Kumamon's Dream School
コロッケさんと学ぶ「笑顔の授業」
震度7の激震が2度も襲ったあの日からちょうど1年の2017年4月16日、この震災を語り継ぎ未来へのメッセージとするためのイベント「くまもん音楽祭」との共催で、本年度最初の「くまモン夢学校」が開催されました。
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くまもとの未来を担う子どもたちが主役のこの音楽祭。出演者は、タイトルどおりくまモンを筆頭に、さまざまな復興イベントでも活躍するNHK熊本児童合唱団、熊本のために曲を創りニューヨークからわざわざ駆けつけてくれたアーティストの大江千里さん、「熊本の子どもたちを元気づけたい!」と米国ユタ州からやってきてくれた世界的な児童合唱団のユニット、ワンボイスキッズの皆さん、そして、今回の「くまモン夢学校」の先生で、熊本出身のエンターティナー、コロッケさん。豪華で賑やかなメンバーでの開催となりました。
音楽祭の前半は、NHK熊本児童合唱団やワンボイスキッズの透き通るような歌声と熊本をテーマにした大江千里さんのステージ。後半の出番を待つコロッケさんの楽屋を直撃して、お話を伺ってきました。
子どもは、大人を見て育つ。
FKP:震災直後から何度も熊本に足を運んで支援活動をされていますね。子どもたちともたくさんふれ合ってこられたと思いますが、いまどんな思いをお持ちですか?
コロッケさん:僕が一番感じてることは、子どもたちが、素敵な大人をいっぱい見ることができたということです。大きな震災があったことは良いことではないけれど、逆にそれがあったから、人を助ける大人、自分たちを助けてくれる大人を見ることができる。素敵な大人を見ると、子どもたちも素敵な大人になっていきます。子どもは、大人を見て育ちますからね。その縮図を、この1年、ずっと見させていただいている気がします。大切なのは、行動すること。そして、続けること。諦めない、これからもちゃんと関わり続けていくよ、と覚悟を決めた大人たちの姿を見せていくことが、子どもたちへの一番のメッセージになるんじゃないかと思います。
FKP:今日のイベントには、どんな思いを込めていらっしゃいますか?
コロッケさん:震災からちょうど1年のこの日は、とても大切な日なので、いい思い出が残ればと参加しました。子ども達の中には、精神的にけっこう大変な子もいると思います。そういう子たちも、「1年目のあの日、コロッケが来てなんか変なことやってたね」「みんなで騒いだよね」なんて、子どもたちが思い出してくれたらいいなと。いい思い出を作るのは大人の役割。大人がそうすれば、子どもたちがまた、次の世代にいい思い出をつくってくれますよね。そうやって、「熊本って、ほんと素敵なとこだよね」と、言われるようになりたい。そのために参加しました。
FKP:コロッケさんご自身は子どもの頃どんな夢を持っていらしたんですか?
コロッケさん:夢はアイドルでした。僕たちの小さいときは、新御三家といわれた、郷ひろみさん、西城秀樹さん、野口五郎さん、女性は中三トリオの桜田淳子さん、森昌子さん、山口百恵さんたちが活躍された時代でしたから。憧れましたね~。でも、そのうち鏡と向き合って、アイドルは無理かなって、モノマネに転向することにしました(笑)
FKP:エンターティナーとしての夢を叶えられたわけですね。夢をかなえるために大切な
ことって何でしょうか?
コロッケさん:そうですね。自分なりのエンターテインメントというのを創っていきたいという思いで走り続けて、今年で37年目になります。夢を叶えるために一番大事なことは、どんな仕事をしていても、やっぱり、相手のことを先に考えて動けるかどうかだと思います。自分の勝手な思いとかエゴで動いてしまうと、相手に負担をかけてしまうこともあるので、「大丈夫かな?どうかな?」と、常に相手を気遣う気持ちを忘れないこと。例えば、自分が歌を歌いたいとき、「歌うから聞いてよ!」というのと、「歌いたいと思うんだけど、聞いてもらっていい?」というのでは、ずいぶん違いますよね。同じ聞いてもらうだけでも、自分の気持ちの持ち方ひとつで大きく変わると思います。夢を叶えたければ、謙虚な気持ちを持ち続けること。自分に厳しく、人に優しく。そういう気持ちが大事だと思います。
FKP:今なさっている復興支援にも通じるものがありますね。最後に、熊本の皆さん、子どもたちにメッセージをお願いします。
コロッケさん:また、時間を見つけて、ちょこちょこ仮設住宅やいろんな場所に行きたいと思いますので、皆さんその時にお会いしましょう。子どもたちは、一生懸命がんばりましょう。そして、素敵な大人をたくさん見ましょう。そしたら、素敵な大人になれますからね。コロッケのおじちゃんもがんばりますから、いっしょにがんばりましょう!
熊本へ戻ると、いつも「いっしょにがんばりましょう!」という言葉をかけ続けるコロッケさん。相手を思いやる気持ちと、ふるさと熊本への愛があふれるお話でした。
子どもに負けないくらい大人が笑った!
「くまモン音楽祭」の後半は、いよいよコロッケさんの「くまモン夢学校」~笑顔の授業~の開校です。
「それでは早速お迎えしましょう。コロッケさんです!」
司会者の声が響くと同時に、ステージの袖から袖へ、全速力で駆け抜ける何かが・・・。
会場は、最初からドッと笑いに包まれます。
「いま、何か通ったような・・・くまモン?」
そのアナウンスに導かれステージに戻ってきたコロッケさん。くまモンと同じ黒と赤の衣装で登場です。
「この前、くまモンと共演してたら、体形がそっくりって言われましてね」
と、デビュー当時に比べ28キロも体重が増えたことを告白。自虐ネタで、またまた会場を沸かせます。
その後は、一気にコロッケワールドへ。お馴染みのモノマネを進化させた独自のパフォーマンスを、解説付きで次々に披露。美川憲一、岩崎宏美、玉置浩二、森進一、八代亜紀…、子どもたちのお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんに人気のタレントさん(コロッケさんによると既に別の人)が登場すると、会場の大人たちから次々に曲のリクエストがかかります。
コロッケさんの不思議な動きや顔の変化に、本物のタレントさんは知らない子どもたちも大喜び。会場いっぱいに大人も子どももひとつになった大爆笑が巻き起こります。自分も顔真似をしてみる子どもたち。お母さんと顔を見合わせて笑う子どもたち。そして、子どもに負けないくらい無邪気に笑う大人たち。そこには、ただただ、全てを忘れて、みんないっしょに笑う楽しい時間がありました。
子供たち向けにコロッケさんが教えてくれたのは、ドナルドダックのモノマネ。「唇の端から息を吐きながらお腹を絞ってると声が出てくるよ、練習すれば…」。「じゃ、一人のドナルドダック…」「2人のドナルドダック…」と、先生の模範演技に子どもたちは釘付け。そして「大勢のドナルドダック…」と、コロッケさんが勢いよく頭を揺らし唇をブルブル振るわせて声を出すと、会場にはドッと大爆笑が。さっそく、あちこちで子供たちが頭を揺らし始めました。
モノマネパフォーマンスの後は、子どもたちもステージに上がって記念撮影。続いて、
子どもたちにはおなじみの歌「にじ」の合唱。コロッケさんが益城町の子どもたちと共に出演した熊本地震復興応援のミュージックビデオがスクリーンに映し出されるなか、くまモンもいっしょにみんなで大合唱し、「笑顔の授業」は終了となりました。
「くまモン音楽祭」と共催だったこともあり、大人も混じっての授業となった今回の「くまモン夢学校」。地震は辛かったけど、みんなで笑った時間は楽しかった。子どもたちは、そんな思い出を胸に刻んでくれたことでしょう。そして、笑っている大人たちの顔を見上げながら、笑いがどれだけ人を元気づけてくれるかを、きっと感じてくれたのではないでしょうか。「子どもは、大人を見て育つ」、コロッケさんがずっと続ける復興支援は、まさに、子どもたちの未来を照らす笑顔の復興支援なのかも知れません。
笑いは、一瞬で国境も超えた!
開演前、出演者同士のご挨拶が交わされていた時のこと。コロッケさんが、ワンボイスキッズを前にドナルドダックのモノマネを始めました。バックステージは、いきなり大きな笑いの渦に。言葉を超えて一気に人の心を近づける「笑い」の力を見せてもらった瞬間でした。
「くまモンあのね」書籍販売&ポスト設置
会場のロビーでは、熊本復興を願う人々のたくさんの愛が詰まった1冊『くまモンあのね』(幻冬舎、本体価格1200円・税別)が販売されました。全国からのあたたかい支援によって出版が実現し、4月6日に発売されたばかりです。また、引き続き皆さんの声を集めるため「くまモンあのね」のカードを入れるためのポストも設置。子どもたちも、叶えたい夢や震災後の今の気持ちなど、思い思いのメッセージを書き込んでいました。
チャリティグッズ販売&復興パネル展
休憩時間や終了後は、チャリティグッズを買い求める人たちでロビーも賑わいを見せていました。販売されたのは、書籍のほか、復興支援バージョンのくまモングッズやコロッケさんのDVD「にじ」、チャリティバッヂなど。また、音楽祭の主催、熊本日日新聞による震災復興のパネル展示もありました。
家族みんながニコニコになった!
イベント終了後、「コロッケがおもしろかった!」と、おばあちゃんと顔見合わせる吉永琴美ちゃん(9歳)。「ようちえんで、いつもにじうたってる。くまモンといっしょでたのしかった!」と、妹の詩織ちゃん(5歳)。家族連れでの参加が多かったこの音楽祭。大人も子どもも、帰っていくみんながニコニコの笑顔でした。