体育の授業
About Kumamon's Dream School
くまモンと香川選手が熊本市内の小学校をサプライズ訪問!子供たちと一緒にサッカーを楽しみました。
地震直後の4月16日、ドイツからブログで熊本を案じるメッセージを発信した香川選手。FOR KUMAMOTO PROJECTが企画する出前授業『くまモン夢学校』の初回の先生役を引き受けての熊本来訪です。
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レポート
ドイツ・ドルトムントで活躍するサッカー日本代表の香川真司選手が、ドイツから帰国翌日の5月24日、熊本を訪れました。
地震直後の4月16日、ドイツからブログで熊本を案じるメッセージを発信した香川選手。FOR KUMAMOTO PROJECTが企画する出前授業『くまモン夢学校』の初回の先生役を引き受けての熊本来訪です。
香川選手が訪れた東区・若葉小学校は、熊本地震の震源地・益城町の西隣に位置し、近所の健軍商店街が大きなダメージを受けるなど、生活面への打撃が大きい地域です。校長先生によると、5月9日に学校が再開してからも、まだ2組の家族が他県の避難先から戻られない状態で、3人の生徒が転校したそうです。
この日の午後。一体何が起こるのか聞かされずに校庭に集められた1年生から6年生まで全校400人の子どもたちは、まずくまモンの登場に熱狂。そして、くまモンが香川選手と手をつないで再び校庭に現れると、感極まって泣き出す子も。香川選手とサッカーボールを追いかけるひととき、若葉小の校庭を久しぶりに子どもたちの歓声が覆い尽くしました。
5歳の時、夢くれたカズ選手
子どもも大人も、みんながでっかい笑顔になった「くまモン夢学校」。サッカー部のコーチによると、地震後ずっと校庭を広く使って活動ができなかったので、久しぶりに伸び伸びと身体を動かすことができて子どもたちが心から笑っているように見えたとのこと。
現在27歳の香川選手は、神戸出身。阪神淡路大震災を5歳で体験しています。震災後、香川選手が通う小学校に三浦知良選手が訪れた時、サッカー選手ってすごい、と思ったことが、「プロサッカー選手になりたい」という夢の原点になりました。その後、仙台の中高に進学した香川選手は、東日本大震災後は子どもたちにサッカーを教える活動を続けています。
「くまモン夢学校」終了後、校長室で香川選手に、今回熊本に訪れた思いを聞きました。
FKP:香川選手が真剣にプレイする姿に、サッカー部のキャプテンが「一生忘れません」と言っていました。いつも、子ども達とあのように真剣にプレイするんですか?
香川選手:子ども達とはいつでも真剣勝負です。サッカー選手ってすごいなあと思ってもらえるのは僕らサッカー選手にはありがたいことだし、それを肌で感じるのはきっと子どもたちの成長につながると思うので、子どもたちとは全力で遊ぶんです。
FKP:香川選手が子どもだった22年前、神戸で小学校に来た三浦和良選手も、真剣にプレイしてくれたんですか?
香川選手:その時は人が多すぎて試合はされなかったと思いますけど、遠巻きながらカズさんは本当にカッコよくて憧れました。カズさんに会えた時の興奮は今も覚えています。
FKP:三浦知良選手に会えたことは今も思い出すものですか?
東日本震災や熊本地震で、僕自身できることがあるのかなと考えた時に、僕はサッカー選手ですからサッカーを通して何かしたいと思いました。それはやっぱり、カズさんが僕らにしてくれたように、今回、復興に向けてがんばっている子どもたちが何か感じてくれればという気持ちです。それはほんの少しのことだと思うんですけど、それでも力になれればいいなあと思ってます。
FKP:10年後に今日の子どもたちからプロが出てくるかもしれませんね。
香川選手:それは僕がいちばん願っていることです。
FKP:香川選手にとってのサッカーの魅力を教えてください。
香川選手:僕は3歳でサッカーに出会いJリーグで育ち、サッカーのおかげでいろんな人に出会い、勝ち負けや悔しいことなど全てをサッカーから学びました。サッカーによって、スポーツ選手としてはもちろん、それ以前にひとりの人間としても大事なものを教えられました。それはすばらしいことだと。
FKP:子どもたちから得るものがあるとすればどんなことでしょう。
香川選手:子どもたちとサッカーをするたびに感じるのは、彼等の反応は素直で偽りがないということ。直に反応が返ってくるので、今日はすごく歓迎してくれて、僕ももっとサッカーをがんばって、目標とされる選手になれるようにがんばっていきたいなと思いました。
子どもたちの素直な心を見られることは、僕にとってもサッカーをしていく活力になるんです。
ボランティアにこそ、光を
「くまモン夢学校」の後、避難所となっている体育館を訪ねた香川選手は、段ボールで区切られたスペースに身体を横たえる老人や、避難所支援をするボランティアスタッフの様子をしばらく無言で眺めていました。
去り際に見送りに来た若いボランティアスタッフと記念写真に納まりながら、
「どこから来たんですか?」と尋ねる香川選手。
「大阪からです」と答えたその若者に、
「あなた達がいちばん大切だから。がんばってください」
と返す香川選手は、ボランティア支援に対して何か思いがあるのではないか。
そう感じ、最後にその言葉に込めた思いを香川選手に聞いてみました。
すると、香川選手は次のように話してくれました。
「今日、ここに来るまで、僕が子どもたちに与えられる影響力ってどのくらいなんだろうって、ずっと考えてたんです。僕は行けても今日みたいにたった1日なんですけど、さっきの彼らのようなボランティアの方々が、見返りなど考えずに人のために働いているのを、ひとりの人間としてすばらしいことだと思うんです。そういう人たちが、尊敬されるべき、とりあげられるべき、とすごく感じています。そんな彼らに、感謝の気持ちを伝えたいし、これからも伝えていきたいなと思ったんですよね。」
香川選手が日頃からたくさんの人とのつながりを大切にしながら、サッカー選手として全力を尽くしていることが改めて感じられる言葉でした。
そして、熊本復興支援のために香川選手が用意してくれたチャリティの品は、それぞれに香川選手のサインを入れたサッカーボール、ユニフォーム、そして、香川選手のメッセージが書かれたくまモンぬり絵(くまモンのぬり絵については追って出品いたします)。
オークションに参加してくれる方々へ、香川選手からの飾らないメッセージです。
「熊本復興のために、みんなが協力してくれたらうれしいです」
取材:三宅玲子 写真:宮井正樹